よくわかる 目の疾患

失明原因の上位を占める眼科疾患から順にわかりやすく解説します。

感染性結膜炎(かんせんせいけつまくえん)

目には7つの感染部位に5種の病原体が、3つの感染ルートから感染症を起こします。

7つの感染部位
まぶた/結膜/角膜/強膜/眼球内/涙嚢/眼窩(頭蓋骨の眼球がおさまっているくぼみ)
5種の病原体
ウィルス/クラミジア/細菌/真菌/寄生虫
3つの感染ルート
結膜/角膜などの目の表面から/血管から(他の臓器から血液の流れに乗って感染)/三叉神経節から(ヘルペスウィルス)

結膜■ 最もよく見られる目の感染症は、結膜炎です。
結膜炎とは、白目の表面と上下のまぶたの裏側を覆っている粘膜(結膜)に炎症が起きた状態です。

■ 結膜炎を起こす病原体には、年齢により以下のような特徴がみられます。

1)新生児:
細菌(淋菌が多い)、クラミジア
2)学童:
細菌(インフルエンザ桿菌が多い)、ウィルス(咽頭結膜熱=プール熱が特徴的)
3)成人:
細菌(淋菌によるものが増えている)、ウィルス(単純ヘルペスウィルスの片眼感染)、クラミジア(成人封入体結膜炎)
4)高齢者:
細菌(黄色ぶどう球菌、特に治療が難しいMRSAに要注意)、ウィルス(帯状ヘルペスウィルス)

■ 平成16年は、早い時期から咽頭結膜熱の大流行が起こり、学校現場で問題になりました。約2週間で治癒しますが、めやにや流涙がみられる間は、手洗いを励行し、接触感染の予防に気を配らなければなりません。

■ どの年齢層にもみられる結膜炎で、感染力の強いものに、流行性角結膜炎を起こすアデノウィルスや急性出血性結膜炎を起こすエンテロウィルスがあります。
細菌は、菌の培養で種類を確定したら、それぞれに効果のある抗生物質の点眼を使用しますが、確定するまでは、菌を年齢から類推して点眼薬を選びます。
最初は広範囲に効果のある点眼薬がよく用いられます。

■ ウィルスの中で、ヘルペスウィルスにはゾビラックスやバルトレックスなどの治療薬がありますが、アデノウィルスやエンテロウィルスには現在のところ治療薬はなく、感染の予防をしながらひたすら治癒するのを1~2週間待つしかありません。

クラミジアは、人工培地で培養できず、生きた細胞内でのみ増殖する、ウィルスに似た性質を示す微生物です。
内服と眼軟膏をしっかり投与して治療します。
適切な点眼や軟膏、必要な場合は内服を使用し、手指などによる家族など他の人への感染に十分に注意しましょう。

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